インプラント治療をする医院の選び方

目次

01 歯科医師選び

専門医を持っている
インプラント治療が大学での教育に本格的に取り入れられたのはここ10年ほどで、それまでは卒業後に歯科医師自ら研鑽を積んで学んだ先生も少なくありません。しっかりと学会に所属し、最新の医療情報をアップデートしており、できれば日本口腔インプラント学会認定の専門医の資格を有することが望ましいでしょう。インプラントの専門医になるためには治療後に3年以上良好な結果を30症例提出しなければならないため、専門医であることは経験豊富であり、長期に渡って安定した結果を出している歯科医師と言えます。
経験豊富である
インプラント治療の一部は外科手術を含むため、経験が浅い歯科医師ではトラブルが起こることも少なくありません。インプラント治療の経験が長く、インプラント以外の外科手術(親知らずの抜歯や歯ぐきの移植など)も普段から行なっている歯科医師であれば問題ないでしょう。
難症例対応である
インプラント治療にも難易度があり、簡単なインプラントの埋め込みから、技術的に複雑で難しい骨の移植などもあります。このような、難症例にも対応しているということは、外科的な技術も高く安心してインプラント治療を受けられるでしょう。
歯科医師に教える立場にある
先述したように、現在インプラント治療をおこなっている多くの歯科医師がインプラントに関する教育を十分に受けていません。そのため、大学主催の卒後研修コースやスタディクラブ自己研鑽をして学んでいます。そのようなコースで教えているのも歯科医師であり、十分な経験・技術・知識を持っていなければ、講師にはなれません。このように歯科医師に教える立場にある歯科医師であれば安心してインプラント治療を受けていただくことができるでしょう。
歯科麻酔科医との連携がある
インプラント治療は外科手術を伴いますので、歯科恐怖症の方や全身的なお身体の問題がある方は、静脈内鎮静法という麻酔法を適用することがあります。これは、点滴でお薬を入れリラックスしたような状態にすることで、手術中の不快感や恐怖感を和らげることができます。全身麻酔ではないので入院なども必要はありません。この麻酔は原則的に歯科麻酔科医が行いますので、麻酔医との連携を持っている歯科医師を選択することで、より快適な治療を受けられるでしょう。

02 歯科医院の設備

カウンセリングルーム
インプラント治療は他の歯に迷惑をかけず、抜いてしまった部分の機能回復ができるという点で、非常に素晴らしい治療ですが、リスクやデメリットもあります。そのため十分なインフォームドコンセントが必須となります。このような患者さんの個人情報が伴う説明は、診療チェアの横ではなく、プライバシーが尊重された個室のカウンセリングルームで行うことが望ましいとされています。カウンセリングルームが完備されたクリニックを受診することをお勧めします。
コンビームCT
インプラントは顎の骨の中にネジを埋め込んで、歯の機能を回復させる手術です。そのため、顎の骨の形を術前に十分に把握することが重要です。また、下顎には下歯槽神経、上顎には上顎洞という副鼻腔が存在し、それぞれリスクを伴います。こういったリスクを回避するためにも、術前のCT撮影は必須となります。コンビームCTとは歯科に特化したCTで被曝量も医科用CTよりはるかに低く設定されています。したがって、インプラント治療をコンビームCTがない歯科医院で行うことは絶対に避けたほうが良いでしょう。
クラスBの滅菌器
歯科で使用する器具には血液や唾液が付着することが多く、感染防止のために十分な消毒・滅菌作業が必須となります。滅菌をおこなう滅菌器にもクラス分けがあり、クラスN・S・Bがあります。この中でも唯一中空な器具(器具の内部)を滅菌できるのはクラスBのみとなります。インプラント治療は外科治療ですので、感染のリスクには十分配慮する必要があります。そういった観点から、インプラント治療をおこなう歯科医院において、現在はクラスBの滅菌機があることが必須ともいえるでしょう。
個室の手術室
インプラント治療は外科治療ですので、感染のリスクには十分配慮する必要があります。隣の診療チェアで歯や入れ歯を削ったりすること粉塵が空気中を舞います。そのような環境の中でインプラントの手術を行うことは、感染のリスクを高め、術後の治癒が悪くなることがあります。お口の中自体にも常在菌と呼ばれる細菌は存在しますので、完全な無菌化で行うことは不可能なので、医科と同じような大げさな手術室までは必要ありませんが、他の診療チェアとは遮断された個室の手術室で行うべきでしょう。
ピエゾサージェリー
ピエゾサージェリーとは超音波を利用して骨を切削する器具です。超音波の微振動で骨を削るため、歯ぐきや神経など柔らかい組織を損傷しないという特徴があります。これを用いることによって、インプラント治療に伴う神経損傷や上顎洞への穿孔を防ぐことができます。難症例のインプラント手術には必須となります。
口腔内スキャナー
口腔内スキャナーとは写真の技術を応用し、型取りに代わりとなるスキャナーです。これにより、従来の粘土のような材料をお口の中に入れて数分間苦しい思いで待つ必要はありません。これまでインプラントの型取りは、普段使用する材料よりもさらに硬いシリコン材を用いるため、不快感だけではなく、撤去時に痛みを伴うことがありました。しかし、この口腔内スキャナーを用いると、歯と接触させる必要がありませんので、不快感は全くありません。その上、従来法では5分ほど材料が固まるまで待つ必要がありましたが、この機器を用いた型取りでは約1~2分で完了します。このような最新技術を用いて、患者さんの負担をできるだけ減らす努力をしているクリニックを選びましょう。

03 初診時〜治療開始までの検査やカウンセリング

お口全体の検査を行っている
インプラント治療は歯がない部分にチタンのネジを埋める治療ですが、歯のない部分だけを検査すれば良いというわけではありません。抜歯となる原因は歯周病、むし歯、咬み合わせなど様々です。そういった原因をしっかりと根本から除去し、インプラント治療を行うことが必須です。また、隣の歯や向かい合う歯の状態、あるいは、お口の中で他のインプラントが治療となる歯内科など
CTを撮影している
インプラントは顎の骨の中にネジを埋め込んで、歯の機能を回復させる手術です。そのため、顎の骨の形を術前に十分に把握することが重要です。また、下顎には下歯槽神経、上顎には上顎洞という副鼻腔が存在し、それぞれリスクを伴います。こういったリスクを回避するためにも、術前のCT撮影は必須となります。アメリカではCTを撮影せずにインプラント手術を行いトラブルが生じた場合は、訴訟では全面的に歯科医師が負けると言われています。CTを撮影せずにインプラント手術をすることはありません。
歯がない部位だけではなく、
お口全体の現状説明がある
インプラント治療は歯がない部分だけを診査して、埋入すれば良いという治療ではありません。歯を抜いた原因をしっかりと追究し、その原因を除去することが重要です。また、前後や向かい合う歯などの状態をしっかりと診査し、一緒に治療する必要があるかどうかについてもしっかり診査と説明をしてくれる医院で治療を受けることをオススメします。
複数の治療計画を提示してくれる
歯を失った後の治療法は、インプラントだけではありません。ブリッジや入れ歯について、しっかりメリット・デメリットを説明し、他の選択肢を知ることが患者の権利でもあり、歯科医師の義務でもあります。また、複数の歯がない場合も、インプラントの本数や配置に複数の選択肢が存在します。患者さんの予算など希望に応じて対応してくれる歯科医院が望ましいと思います。
視覚的な媒体で説明をしてくれる
インプラントの埋め込みの手術の流れや、骨の移植の術式などは複雑なため、なかなか口頭だけの説明では理解するのは、患者さんにとって難しいでしょう。ホームページに載っているイラストや、過去の症例写真などを見せながら、わかりやすく説明してくれることで理解が深まります。患者さんファーストでわかりやすく説明してくれる歯科医院を選びましょう。
セカンドオピニオンための資料を
快く提供してくれる
インプラント治療を行う歯科医院はたくさんあります。必ずしも最初に相談した歯科医院で手術を受けなくてはいけないわけではありません。少しでも不安や疑問を感じた場合は、速やかにセカンドオピニオンの受診をしましょう。セカンドオピニオンは患者さんの権利であり、そのための資料を提供することは歯科医院の義務でもあります。セカンドオピニオンについての資料請求にも快くし提供してくれるクリニックを選ぶようにしましょう。

04 手術前の契約

治療完了までの見積もりを
きちんと書面で発行してくれる
インプラント治療は高額な治療であり、最近では事前にしっかりと見積もりを書面で発行してくれる歯科医院が増えています。しかし、インプラント治療は手術と被せ物で分かれていますので、最後の治療完了までの総額かどうか、確認するようにしましょう。(インプラント治療費がとても安く宣伝している医院では、手術費用のみを提示しているところも少なくありません。)
大まかな治療期間についてきちんと説明してくれる
インプラント治療のデメリットの1つに、長期にわたる治療期間が挙げられます。抜歯からインプラント埋入まで、骨や歯ぐきの治癒を待つために1~3ヶ月待ち、さらにインプラント埋入から被せ物装着まで2~3ヶ月待つ必要があるためです。(待つ期間は部位や抜いた歯の状態などに左右されます。)
手術の流れについて具体的に説明してくれる
手術というとどうしても、恐怖心や手術中や術後の痛みが心配ですよね。手術がどのような流れで始まるのか、手術の手順や手術時間などについて、あらかじめ知っておけば、なんとなく心構えができて安心だと思います。現在は当たり前となったインフォームドコンセントにも、手術の流れについてしっかりと説明する義務があります。できるだけ図や写真を用いて、手術の流れを具体的に説明してくれる医院を選ぶことをお勧めします。
リスクや術後の腫れ・痛みなどについて
書面で説明をしてくれる
手術には必ずリスクが伴います。そのリスクについて説明を行わずに手術を行うことはインフォームドコンセントにおいて義務違反といえます。例えば、下の奥歯のインプラントであれば下歯槽神経の損傷のリスクがあり、万が一損傷した場合には唇や口の周りの知覚麻痺の可能性があります。また上の奥歯の場合は上顎洞という副鼻腔があり、そこの穿孔(突き抜けてしまうこと)リスクやそれによる上顎洞炎の発症の可能性があります。可能性が非常に低いと思われる場合でも、かならずこういったリスクの説明は必要です。
また、術後にどれだけ日常生活や仕事に支障があるのか、個人差はありますが腫れや痛みが続く日数の目安について、説明はおこなうべきでしょう。そうでなければ、持続する痛みや腫れについて、それが異常なのか通常なのかさえわからなくなってしまうからです。
できれば、これらの説明に関しては、しっかりと書面でお互い確認しながら説明を受けることが望ましく、あとで、「言った」「言わない」とならないためにも、書面で説明してくれる歯科医院を選択しましょう。
部位・本数・治療費などを明記した同意書を交わし、その控えを渡してくれる
治療費やリスクに関しては、上記で述べたようにしっかりと同意書の中で取り交わされるべき事案でありますが、部位や本数については意外に説明が不足し、術後にトラブルになることがあります。1本のインプラント埋入では問題になることはありませんが、複数本(特に3本以上はがない場合)のインプラント埋入手術では、治療計画によって、インプラントの埋入部位や本数が変わりますし、結果的に治療費も変わってきます。このようなトラブルがないように、部位や本数などについても術前にしっかりと書面で伝えてくれることが誠実だといえるでしょう。

05 手術時

手術の前にお口全体のクリーニングを行っている
インプラント埋入は骨を露出させる手術です。したがって、感染のリスクをできるだけ少なくすることが重要です。感染の原因の多くは口腔内の細菌ですので、術前にしっかりとお口の環境を整えることが重要です。手術までに歯周病の治療は言うまでもありませんが、できれば当日にもクリーニングを行うことで、術中の感染リスクを大きく下げることができます。クリーニング以外にも、含嗽薬によるうがい・抗生剤や鎮痛剤の術前投与をおこなっている歯科医院なら間違い無いでしょう。
清潔な滅菌環境で手術をおこなっている
手術の感染を防ぐためには、術前のクリーニングに加え、使用する器具が十分に滅菌され清潔な状態であることが不可欠です。滅菌にもレベルがあり、できれば中空構造の機材の内部までしっかりと滅菌が可能なクラスbというクラスの滅菌器を備えていることが望ましいといえるでしょう。また、手術の場所に関しても、医科のような大げさな手術室までは必要としませんが、できれば室内に切削片や粉塵などが飛散していない個室の環境で行うことが強く望まれます。
できるだけ使い捨て(ディスポーザブル)の器具(術衣・顔を覆う布など)を用いている
インプラント治療では血液や唾液などが混在する中で、手術を行います。したがって、できるだけ一度手術に使用したものは捨てられるような素材(ディスポーザブル)を使用することが強く推奨されます。グローブや術衣は当然ですが、メスや顔を覆う布などできるだけ使い捨てのものを使用している医院は、安心して手術を受けられる環境が整っているといえるでしょう。
手術時間が短い
手術の時間を左右するのは、単純に術者の経験や技量によるところがほとんどです。それに加えて、難症例などではアシスタント(多くは衛生士が務めます)のサポートが優秀であるかによっても左右されます。手術時間が早いことは、術中の不快感の軽減に加え、手術によるダメージを最小限に抑えられるため、術後の腫れや痛みに影響を与えることがあります。

06 手術後のフォロー

術後にレントゲンで確認し手術の結果を説明してくれる
上顎でも下顎でも解剖学的なリスクが存在するため、手術後のパノラマX線写真(顎全体のレントゲン)は必須です。できれば低被曝のコンビームCTを撮影し3次元的に確認することが望ましいと言えます。術後に、レントゲンを見ながらしっかりとインプラントの入った状態を説明してくれる歯科医院は、安心してよいでしょう。
術後の注意事項について詳しく説明してくれる
術後の注意事項をおこなうことは当然のことですが、できれば書面にて説明をし、その手術の大きさに応じた説明をしてくれることが望まれます。起こりうる可能性や期間、食事や歯磨き時の注意事項など、細かく記載されているに越したことはありません。
三軒茶屋マルオ歯科では
上記すべて条件を満たしたインプラント治療を行なっています。