感染根管治療

01.概要

i 感染根管治療とは

感染根管治療とは、一度神経を取った(抜髄した)歯の根の中で感染が起こり、根の先で炎症を起こしている歯の治療のことを言います。根の先で起きる炎症のことを「根尖性辺縁歯周炎」と呼びます。多くの場合、歯根の先端部周囲の歯槽骨が溶けてしまい、膿の袋ができています。なかには、その膿の出口が歯茎に出てきて、ニキビのような瘻孔(ろうこう;サイナスクラストとも呼ぶ)をつくることもあります。具体的な治療として、可及的に無菌の状態で、根管の内部の汚染物を取り除き、消毒をし、天然の樹脂などで緊密に根管を充填するまでを感染根管治療とよびます。

ii 感染根管によって痛む原因

感染根管によって痛みが生じる原因は、感染した根管内部で細菌が活性化し、
その細菌の産出物である内毒素によって内圧が高まるために起こります。
痛みを緩和するためには

  • ①細菌活性を抑えるために抗生剤を服用する
  • ②痛みを抑えるために鎮痛剤を服用する
  • ③噛み合わせを調整し、あまり当たらないようにする
  • ④蓋となっている被せ物や詰め物を撤去し、根管内部の圧を解放する
などが必要となります。
特に痛みや腫れが強い急性期には、①・②・③で対応することが一般的です。
痛みがある程度取れてから、④をおこない本格的な感染根管治療を開始することが一般的です。

iii 感染根管治療によるメリット・デメリット

メリット
  • 感染根管治療を行うことで、汚染された根管内部が清潔となり、根の先の炎症が軽減し、膿の袋は消失します。
  • 保険外の被せ物などをする場合は、事前に感染根管治療を行うことで、再発を防ぎ、被せ物を壊して再治療するリスクを低くすることができます。
デメリット
  • 感染根管治療の成功率は約6~70%と言われており、改善しない場合もあります。その場合は、根の先を外科的に切除する歯根端切除術をしなくてはならないことがあります。
  • 感染根管治療を何度も繰り返すことで、歯根は脆くなり破折するリスクが高まります。

iv 感染根管治療で治る症例と治らない症例

治る症例
  • 前の根管治療の状態があまり良くない場合
  • 前の治療で根管を見落としている場合
  • 根の先の炎症(病変)が比較的小さい場合
  • 被せ物の不適合が原因の場合
治らない症例
  • 元々の治療は問題ないが炎症がある場合
  • 歯周ポケットが限局的に深く、歯根の破折が疑われる場合
  • 歯周病と根尖性辺縁歯周炎が併発している場合
  • 内部でむし歯が大きく広がっている場合
  • 根管が非常に複雑な形態をしている場合

v 感染根管治療後の経過

根管治療後には一度仮歯にし、問題なく噛めるかを確認します。とくに症状などがなければ、最終的な被せ物の型取りをします。定期的にレントゲンを撮影し、根の先の病変部分が小さくなっていくかを観察します。

02.当院での治療の流れ

  • i 検査
    歯周ポケットの検査やレントゲン撮影などを行います。歯の根管は非常に複雑であり形態も様々ですので、症例によってはCTを撮影し、根管の見落としや3次元的な形態の把握が重要となります。
  • ii 除去
    現在入っている被せ物や詰め物を除去します。金属の土台(メタルコア)が入っている場合は、除去に時間がかかる場合があります。
  • iii 隔壁
    被せ物の下でむし歯になっていたり、残っている健全な歯の部分が少ない場合、レジンという材料で隔壁という堤防を作ります。これによって、治療中の細菌感染や薬液の漏洩を防ぐと同時に、治療期間中の仮詰めが取れにくくなります。
  • iv ラバーダム
    お口の中や唾液には細菌が多く存在するため、根管を無菌化することが目的の感染根管治療の際には、唾液などから隔離するために、クランプと呼ばれる金具にゴムのシートを装着して、その歯だけを孤立させるラバーダムをセットします。ラバーダムをすることで、根管治療の成功率は飛躍的に上がります。また、無菌状態を保つだけでなく、薬液などがお口の中に漏れる心配もありません。多くの歯科医院が使用していませんが、根の治療をおこなう上で必須といっても過言ではありません。当院では原則すべての症例でラバーダムをおこなっています。
  • v マイクロスコープとニッケルチタンファイルによる根管拡大および洗浄
    マイクロスコープ
    歯科用の顕微鏡で最大22倍に拡大して根管の内部を見ることができます。多くの歯科医院が盲目的に根の治療をおこなっていますが、顕微鏡を用いずに根管内の感染物を完全に取り除くことは至難の技です。しっかりと中の状態を確認しながら、限りなく無菌化を目指すためにマクロスコープは必須と言えるでしょう。当院ではマイクロスコープでも最高品質と言われるカールツァイス社製のEXTAROというモデルを導入し、より良い根管治療を目指しています。
    トライオート

    トライオートとは、根管を洗浄・拡大する際に、手指ではなく機械的に拡大する機器です。トライオートにより、根管治療の時間が短縮でき、また規格化されたサイズで正確に根管拡大ができるため、治療の成功率も上がります。
    詳しくはこちらの動画をご参照ください。

    https://www.youtube.com/watch?v=0zgEgqh8bGo
  • vi バイオセラミックセメントによる根管充填
    根管内をきれいにした後は、緊密の根管を充填し、細菌の居場所をなくすことが非常に重要です。当院では、バイオセラミックセメントと呼ばれる、生体親和性が高く、非常に密封性の高いセメントを用いて、根管充填を行なっています。根管充填を行った後は、確認のためのレントゲンを撮影します。
  • vii ファイバーポストによるコア築造
    感染根管治療が終了し、レントゲン検査でも問題がなければ、治療をしていた部分を埋め立てます。当院では、ファイバーポストと呼ばれるガラス繊維を固めた十分強度のあるポストピンとデュアルキュア型(光重合と化学重合の両方の性質を持つ)レジンコアで、土台となるコアを築造します。
  • viii 仮歯
    コアを築造した後は、しっかりと歯が噛める状態であるか確認するために仮歯を入れます。一般的な歯科医院では、柔らかい仮詰めにすることが多いのですが、歯が欠けたり、ガムなどで簡単に取れてしまう恐れがあります。当院ではその場で歯科医師がカスタムメイドの仮歯を作製いたします。
  • ix 型取り
    仮歯で問題ないことが確認できたら、型取りをおこない最終的な被せ物を製作していきます。
  • x 最終上部構造のセット
    最終的な上部構造を装着して、メンテナンスへと移行します。

03.治療期間

2〜5回
根管の数や治り具合によっても変わりますが、1回の治療に30~60分の時間を設けますので、
根管の治療だけで半年以上かかることは絶対にありません。

04.基本的な治療費用

初回根管治療 (抜髄、感染根管治療) 前⻭ 71,500円
小臼歯 88,000円
大臼歯 110,000円
再根管治療 前⻭ 88,000円
小臼歯 110,000円
大臼歯 132,000円
逆根管治療 (⻭根端切除術) 110,000円
前処置 【補綴物(被せ物・土台)の除去】 補綴物除去 11,000円
困難なもの 22,000円
支台築造 (ファイバーポスト) 27,500円
⻭髄保存 (直接覆髄・断髄) 66,000円
深いう蝕除去後の間接覆髄 33,000円
※価格はすべて税込です
※麻酔、隔壁、ラバーダム、トライオートによる根管治療、MTA含有の根管充填、料金がすべて含まれます。
※自費の感染根管治療をした場合、上部の被せ物も保険外となります。
※1年間の治療保証が含まれます。1年以内にトラブルが生じた場合は無償によるやり直し、またはその後の治療費から根管治療の治療費を差し引かせていただきます。

05.付加的な治療オプションと費用

根管治療後の被せ物はすべて自費となります。

前歯 小臼歯・大臼歯
支台築造 (ファイバーポスト) 27,500円(税込)
仮歯 5,500円(税込)
プレミアムジルコニア 165,000円(税込) 132,000円(税込)

06.三軒茶屋マルオ歯の感染根管治療の特徴

  • 根管治療専門医より安く、一般の歯科医院より高品質な、
    根管治療を提供することをお約束いたします。
  • 1回の治療にしっかりと時間を取り(30分〜1時間)、
    できるだけ短期間での治療が終了するように努めます。
  • 全てのケースで全ての症例でラバーダムを使用し、
    治療中の細菌による汚染や薬液の漏洩の防止に努めます。
  • 治療費の範囲内で、必要に応じてCT撮影およびマイクロスコープを使用し、
    根管をできる限り見逃しません。
  • トライオートという機器を使用して根管拡大を行うことで、
    ドクターによる治療成績のばらつきをできる限り無くします。
  • MTA含有のバイオセラミックを使用し、根管治療の成功率を高めます。
  • カスタムメイドの仮歯を作製し、しっかり噛めることを確認してから
    最終的な被せ物の型取りをおこないます。
  • 根管治療は1年間の保証があり、万が一その歯が抜歯することになった場合、
    その後の治療費(例.インプラントなど)から根管治療の治療費を差し引かせていただきます。